美容整形モニターになって別人になった男の話~コンプレックスの解消で、人は変われるのか?
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こんにちは、ミサキです。
「自己肯定感の低さ」って、人によってどんな原因によるんだろう?とボンヤリ考えていたら、ある男のことを思い出しました。
その男は、美容整形で別人のような外見を手に入れました。
今日はその男のことを書いてみようと思います。
人生に迷うロッカー
彼は私が通っていたあるお教室の名物生徒でした。
彼は、レッスンがない時もよく教室にいたので、私とは本来接点がないのに顔見知りでした。
20代後半だった(と思う)彼は、一人暮らしのフリーターでした。
ブリーチしたロングヘア、夏でも革ジャンとヘビ柄のブーツを履いているような、10年近く前の当時でも絶滅危惧種のロッカーでした。
もっとも、「ロッカー」というのは私の勝手な思い込みで、そういうスタイルはもしかしたらメタルかもしれないしパンクかもしれない。
でも私には区別がつかないので「ロッカー」だと思っていました。
そう、私にはどうでもよかったのです。
なぜなら、私は彼のことがあまり好きではなかったから。
彼の話し方と、話す内容がどうにも受け付けられませんでした。
「コミュ障」という言葉がピッタリの話し方なのです。
今なら彼がADHDかも?と思えるのですが、当時の世間は今よりずっと多様性に対しての理解がなかったので、そういう人への知識も私には全くありませんでした。
当時の私は20代、しかも自意識過剰で出来ているアパレル業界勤務。(だからこそ出来る仕事でもありますが)
気持ち悪い話し方に、理解不能なセンス、しかも清潔感がない。
どこにも好意的に見る要素がないように見えました。
しかも人づてに聞いた話では、彼には随分年上の「彼女」がおり、彼女の呼び出しにいつでも応じる代わりにお小遣いを貰っているという。
つまり、ヒモ。
その生き方、全く理解できない。
フリーターだが夢があるわけでもなく、女からカネを貰って生きているような男は、当時の私には価値のない人間にすら思えたのです。
ロッカー、美容整形モニターになる
ある日、こんなウワサを耳にしました。
あのロッカー、整形したらしいよ。
しかもビフォーアフターを雑誌に載せるモニターになる代わりに、顔面フルコースでやったらしい。
普通にやると、100万は下らないくらいのいじり方だってさ。
その彼は、今度教室の飲み会に来るらしい。
誰もが、その整形後の彼を、怖いもの見たさで待ちわびました。
「でも、そんなに顔面全部いじってたら、誰だかわかんないんじゃない?」なんていう人もいたりしたけれど。
そんな心配は無用でした。
なぜなら、印象がまるで変わらなかったのです。
現れた整形ロッカー
会場に現れた彼は、スッキリめのイケメンになっていました。
鼻筋はスッと通り、腫れぼったく見えた一重はくっきり二重に。
だらしなく見えた口元も締まってます。
髪は今風に切られ、さわやかな印象。
だけど。
どうもモヤモヤする。
顔は確かに変わった。
前は確かにどちらかといえばブサ顔だったけど、その面影はない。
でも。
私はしばらくして、そのモヤモヤの原因に思い当たった。
根本的に何も変わってない。
まず、服が同じ。
革ジャンこそなかったが、ブーツはそのままだったし、よくわからない柄の謎でハードなシャツも、確かに彼のセンスです。
そして何より、しゃべり方は何ひとつ変わってない。
そのせいで、全く印象がリフレッシュされないのです。
話す内容も卑屈でめんどくさくて、せっかくのイケメンが台無し。
「意味ない!整形しても意味ない!」
酔った私は本人に聞こえる音量でそう話し続け、当然本人の耳に入り、キレた男に殴りかかられそうになったらしいのですが、周りの静止が素晴らしかったのか、私はそんなこと全く気づきませんでした。
私も相当ひどかったと思うけれど、整形までして自分に自信が持てないのはどうだろう?とは正直思うのです。
でもきっと、彼からしたら、そこにすがるしかなかったのでしょう。
その後のロッカー
それ以来、彼を見たことはありません。
風の噂で、大阪に行ったらしいと聞いたけど、真偽もよくわかりません。
でも、もし人生をリスタートするなら、過去を知る人がいない土地の方がいいだろう。
ボンヤリそう思ったことは覚えています。
コンプレックスは根本的原因ではないのかも
この話に教訓があるとすれば。
身体的なコンプレックスは、自己肯定感の低さの根本原因ではないということ。
恐らく彼もそのことに気づかずに整形したのでしょう。
でも、整形しても、彼は彼のままだった。
劇的な方法でコンプレックスを解消したのに、根本的な自信のなさは無くならない。
だからこそ、私に殴りかかろうとしたのでしょう。
私は整形を否定するわけではないのです。
よくテレビで、整形して変身するバラエティーをやっているけれど、そこに出てくるような、人から二度見されるような変わったパーツを持って生まれてしまった場合、それを無くすことで前向きになれることもあると思います。
プチ整形程度なら、美容や化粧と同じ感覚かもしれない。
でも、人相がまるで変わってしまうような整形をして、果たして本当に「なりたい自分」になれるでしょうか?
…恐らく、ほぼ不可能です。
人相が変わるほどの整形は「別人」になることを意味します。
それはつまり、今までの自分を完全に否定することです。
そんなことが、果たして出来るでしょうか?
恐らくほとんどの人は、今までの自分を否定する過程が耐えられないはずです。
コンプレックスに悩む人が本当に望んでいるのは、自分を認め、受け入れられるようになること
この事実にたどり着ければ、そこから人は変われます。
身体的コンプレックスと自己肯定感の低さは、イコールではないのです。
ただ、この二つは密接に繋がっていたり、絡まっていたりするので、違いを見極めるのがとても難しい。
でも、見分け方はもちろんあります。
それは、コンプレックスが解消した自分を出来るだけ具体的にイメージしてみること。
現実的に実現可能かどうかは、考えません。
ただ、イメージする。想像する。コンプレックスがなくなった自分を。
その自分がどう振舞うのか。何を考え、何を感じるのか。
それが「なりたい自分」と一致していたら、そのコンプレックスは解消すべきでしょう。
くっきりした二重になった自分を想像し、そうなることが心から幸せだと感じられるなら、二重にしたらいいのです。
痩せた自分が最高に好きになれそうなら、ダイエットすればいい。
でも、もしうまく想像できなかったら?
その場合、自分が思っているコンプレックスは、根本的な原因ではない可能性が高いのです。
ちなみに整形ロッカー氏も、どちらかといえばブサ顔でしたが、二度見するほどのブサではありませんでした。
どちらかというと清潔感の無さが問題で、整形しなくても改善できる範囲内だったように思います。
ただ、誰も彼にそう告げる人がいなかったのでしょう。
必要なのは、自分を見つめる勇気
結局、いずれにせよ必要なのは、自分を徹底的に見つめることなのです。
今感じている卑屈さ、みじめさ、劣等感の原因が何なのか、それを突き止めなければ、いつまでも変われません。
身体的コンプレックスのせいにするのは、ある意味「逃げ」です。
自分の意思で選んだのではない身体を呪い続けることで、変われない自分を正当化することになりかねません。
問題は、これからどうするか。
与えられた物を最大限活かすには、どうしたらいいのか。
そのためにはまず、自分を徹底的に見つめ、知ることが必要です。
今なら、彼にそう言えるのですが。
あの時はわからなかったこと。
だから、彼の予備軍に伝わるといいなと思って、書いてみました。
彼はどうしてるかな。幸せになっているといいなあ。