逝く人、生きる私〜雨宮まみさんに寄せて
ライターの雨宮まみさんが亡くなった。
最近の私にとって、雨宮さんは同い年だけどアネゴ的存在だった。
「女子をこじらせて」で一躍有名有名になったけど、私は最近の文章しか知らない。
雨宮さんの文章で、どれだけ励まされ、勇気を貰ったか。
中でも好きだった大和書房のHP連載エッセイ「40歳がくる!」は、私のバイブルだった。
40歳がくる焦燥感について書かれた文章は、まるで自分のことのように感じられた。
大和書房・WEB連載〜40歳がくる!MOB 雨宮 まみ vol03
「いくら自信を持ちたいと思っても、自分で自分の状態に納得がいっていない以上、なんかとても後ろめたくて、自信なんか持てない。「もう40近いんだから、これぐらい普通でしょ」という気持ちもあるけれど、気に入った服をきれいに着たい執着が私には強かった。」
「筋トレしても、痩せても、たぶん自分が怠け者である以上、太ったり痩せたり、それで落ち込む瞬間はきっと、この先何度でもやってくる。私が、毎朝ジョギングをしてそれで健康になって痩せて村上春樹みたいな文章を書き始めちゃうなんてことはあり得ない。だから、もっと、根本的なところで自信が欲しい。ちょっとぐらい太っても、痩せても、そんなことで揺るがない自信が欲しい。」
少し先を行くカッコいい背中を追いかけるような、そんな気持ちで更新を楽しみにしていたのに。
大和書房・WEB連載〜40歳がくる!MOB 雨宮 まみ vol13
「終わらない恋愛が欲しくて、誠実で自分だけを見てくれる人と穏やかに過ごしたい、できれば一生。そういう気持ちと、どうしても女癖の悪い男に惹かれて、のぼせあがってしまう気持ちが、同時にある。〜(中略)〜セックスだけして遊びたいわけじゃない。ということは、本気で振り回されることを、私はどこかで望んでいたのだろう。何度もそれで死ぬような思いをしたくせに。」
「恋愛では、自己評価を低くしていると、そこにハゲタカのような男たちが寄ってきて、よってたかってお前はダメな女なんだから、このくらいの扱いが普通なんだと、ひどい扱いをしていった。だから強くならなくてはならなかったし、自分を守るためには自己評価を上げる必要があった。」
「それでも、恋愛に関してだけは、まだ歯車がきちんと噛み合っていない感じがある。相手が自分に対し、どのような評価を下そうとも、私は私なのだと毅然としていられる自信がない。そう、私は私なのだ。そのことはわかっている、私は、私以外の誰にもなれない。」
ひどいよ、最期にこんな文章遺して。
胸がえぐられるような恋愛観。
わかる。わかりすぎる。
だってこれは、かつての私と同じだ。
だからこそ、このあと雨宮さんがどんな人生を選択するのか見たかったのに。
どうしてくれるんだ、この先何を灯りとして40を迎えればいい?
今年は私にとって、鬼籍に入る人が多すぎる。
1月のデヴィッド・ボウイに始まり、EW&Fのモーリス・ホワイト、zabadakの吉良知彦、BOOM BOOM SATELLITESの川島道行、そして雨宮まみ。
こんなにも。
これでは、常に誰かの死を悲しんでいるようなものじゃないか。
しかも、みんなまだ若い。
私だってわからないのだ。
明日、死ぬかもしれない。
その時、後悔しないなんて無理だ。
遣り残したことは無いなんて、あり得ない。
でも、せめてその時、自分を愛して死にたい。
「こんな人生だったけど、あんたのこと大好きだったよ」って、自分を抱きしめて死にたい。
自分に圧倒的な自信を持ちたいと言っていた雨宮さんは、それが出来ただろうか?
私は、生きていく。今のところ、まだ生きてる。
どうせいつか死ぬのだ。
雨宮さんのように、明日にでもあっけなく死ぬかもしれない。
だったら、せめて大いに楽しく生きてやる。
「不幸になりたくない」と思いながら、どこかで不幸を望むような生き方なんか、もうしたくない。
私は、楽しく生きたい。
人生は素晴らしいって、心から言って死にたい。
素晴らしい人生を生きるって、私は決めた。
この決意は、逝った人たちからのギフトだ。
少なくとも、私はそう、勝手に思うことにする。